株式会社ニコンシステム|Japan
Crosstalk クロストーク

Talk 06 精密制御 史上最も精密な機械「半導体露光装置」の
開発にかける思い

家電製品やスマートフォンなど、日常生活に欠かせないあらゆる製品に使用されている半導体。「半導体露光装置」は、シリコンウェハと呼ばれる基盤に、複雑かつ微細な電子回路パターンを焼き付ける装置です。「史上最も精密な機械」といわれる半導体露光装置の開発に携わるメンバー4人に、仕事の面白さや今後の目標について語ってもらいました。

プロフィール

プロジェクトリーダーA.T
2007年入社
  • キャリア入社
ITエンジニアN.M
2007年入社
  • 新卒入社
ITエンジニアK.O
2020年入社
  • キャリア入社
ITエンジニアS.I
2007年入社
  • 新卒入社

超精密な半導体露光装置とは

A.T:
半導体の生産に欠かせない半導体露光装置は精巧な技術が結集した装置です。装置は一つひとつの処理単位となるユニットが複数あり、数えきれないほどの部品で構成されています。三階建ての建物に匹敵するサイズの装置で、ナノメートルの電子回路の露光を行なっているんです。
S.I:
半導体露光装置では、数ナノメートルの電子回路を基盤に高速で焼き付けています。そのため、超高速な制御を実現するためのソフトを開発し、各ユニットの協調動作を実現させています。
A.T:
私はこの装置の中でも、シリコンウェハと呼ばれる基盤に電子回路を焼き付けるメカを制御する通信を担う、中間的な位置にあるユニットのシステム開発が担当です。例えば、「ウェハ上に、このサイズのチップを焼き付けたい」という指示があった場合に「どこにウェハとレチクルを動かせばよいか」「レーザー照射のタイミングはいつか」など、関係する制御ユニットに指示し、ユニットが同期して制御できるようにしています。
N.M:
私の担当は、装置を目標となる動作の精度に合わせこむための調整用ソフトの開発です。半導体露光装置は究極の精密機器なので、機器を組み込むときの微細な位置ずれや温度の違いなどのちょっとした環境の変化で精度が変わってしまいます。お客様先に装置を納入した際、何もしない状態だと製品を作れるだけの動作の精度がありませんが、調整用ソフトを使うことで製品を作るために期待された精度で動作するようになるのです。
K.O:
工場内の半導体露光装置の稼働状況を分析するためのツール開発が、私の担当領域です。これは、世界中で稼働する装置の状態を24時間365日確認できるツールです。発生したエラー情報やシリコンウェハの焼き付け状況、ユニットの稼働状況など、装置が動くとたくさんのログが出力されます。このログを、ユーザーが解析・分析できるようにするためのアプリケーションを作成しています。
S.I:
私は、ユーザーの指示を受け、その指示をユニットソフトに送る、メインソフトの開発に携わっています。現在は、露光の前処理としてシリコンウェハへの回路の焼き付け状態を精密に計測するための装置の開発を行っています。回路の焼き付けは何重にも行うことで集積度を高めるのですが、ここから得られる計測結果をもとに、露光装置での焼き付けの重ね合わせ精度を向上させることができるのです。数ナノメートルレベルの重ね合わせ精度が要求されるため、高速かつ高精度な計測が必要ですが、その実現が難しさでもあり、やりがいを感じるところでもありますね。

開発のやりがいと面白さ

A.T
最新機種の開発では、お客様から新たな開発手法を提案してほしいと要望を受けているので、積極的に改善施策を提案していますね。仕様検討という上流工程に関わり、お客様と二人三脚で開発を進められることにやりがいを感じています。
S.I
私はこれまで複数の機種開発に携わってきたのですが、新規開発では新しい技術にチャレンジできる機会が豊富にあるため、技術者としてスキルを向上できていると実感しています。非常に高速かつ正確な動作を求められる装置なので、慎重さが必要になるケースも多いですが、やはりチャレンジして知識の幅が広がっていくのは面白いですね。幅広い知識や技術を身につけたいという人は、どんどん成長していける仕事だと思います。
K.O
世界各地の人が利用するシステムの開発を担っているので、大きな影響力を実感できますね。また、分析のためのログは、グラフやガントチャートなど視覚的に分かりやすい表示方法が求められます。表示方法についてお客様から要望をいただき、プロトタイプを制作して提案したところ、「まさしくこんな感じ!」と喜んでいただけたのは嬉しかったですね。
N.M
半導体露光装置の調整用ソフトは、クリーンルームの中で専用の手袋をはめたうえで、タッチパネルで操作されます。特殊な環境で使用されるので、一般的なインターフェースを思い浮かべて開発すると、操作ミスを誘発してしまうんです。なので、目線や操作環境を考慮してボタンの配置やテキストの表示内容を工夫することを心がけています。その結果、劇的に操作ミスを減少させられることもあり、それが大きなやりがいになっています。

より良い装置を開発するために求められるもの

S.I:
半導体露光装置の開発に関わる部署は、それぞれ高い専門性を有しています。より良い装置にするためにも、部署横断的に情報収集して開発にあたることが求められるので、今は人脈作りにも力を入れています。また、データの処理を効率的にするため、AIの勉強にも取り組んでいます。
K.O:
仕様作成をはじめとする上流工程へのかかわりを、お客様から今まで以上に期待されていると感じます。そのためには、装置全体に関する知見が欠かせません。担当領域の知識だけでなく、視野を広げて知識を吸収していきたいですね。現在はAIやクラウドに関する勉強にも励んでいます。外部の研修プログラムを受講する機会をいただいたので、その知識を業務に活かしていきたいです。
N.M:
半導体露光装置の調整ソフトの開発には、ソフト構成や通信の仕組みの把握に加え、「装置をどうやって調整していくか」というユーザーの運用に関する知識もないと使いづらいソフトになってしまいます。ニコンシステムの強みは、中と外の知見を有していることです。その強みを活かして影響範囲や効率を踏まえた機能開発を期待されていると思うので、各部署をつなぎ、より良い機能を開発する役割を果たしたいです。
A.T:
仕様の検討段階から深くコミットするため、お客様の上流工程の会議にも参加させてもらっています。仕様の検討や改善提案を実施するためにも、知識を磨くことが必要不可欠だと感じています。これまでの開発で培ったノウハウと、お客様との密な連携で得られた知識を活かして、上流工程での存在感を発揮したいですね。また、チームリーダーでもあるので他部署との連携にも力を入れたいです。

私がニコンシステムを選んだ理由

N.M:
大学では海洋気象現象の研究を専攻していました。その中で、気象衛星データの分析と、そのためのプログラムをつくった経験に面白さを感じ、システムエンジニアを志しました。ただ、情報系専攻ではなかったので、IT系企業の選考はかなり困難を極めました…。そんなとき、幅広い知識や経験を持ったさまざまな人材を求めていたニコンシステムと出会ったんです。数年前には育休を取得し、働きやすい環境が整っていると実感しています。
S.I:
大学時代に微細加工を専攻したことがきっかけで、高精度かつ大量生産できる装置に興味を持っていました。そんな中で、特に半導体の加工精度に最も影響のある露光装置の制御に携われることから、ニコンシステムを選びました。ニコンシステムはコロナ禍になる前からリモートワークを導入しており、多様な人材が活躍できる環境が整っているのも魅力ですね。
A.T:
私は転職組です。業務と技術の幅を広げたいと思い転職を考え、半導体露光装置の微細なソフトウェア開発にかかわることで広い世界を見ることができそうだと思い、ニコンシステムに入社しました。半導体分野は全くの未経験でしたが、OJTでの丁寧な指導もあり、入社後に知識を身につけながら経験を積むことができたのが良かったですね。
K.O:
私もキャリア入社ですが、前職時代にニコンシステムの業務に関わることがありました。その時、こちらの提案を前向きに受け入れてくれたことに魅力を感じたんです。ここなら楽しくやりがいを持って働けそうだと感じ、転職を決意しました。

今後の目標

A.T:
お客様の要求は年々多様化しているため、それに応えられるチーム作りが求められています。メンバーの個性を大事にしながら、各ユニットの特性や仕様に対する知識を高めてスキルを磨き、メンバーそれぞれがお客様に適切な提案ができ、要求にこたえられるチームを作っていきたいです。ゆくゆくは、グループや部門の垣根を越えた開発を目指したいと思っています。また、より適切な育成やマネジメントを行えるよう、今後は研修を受けて体系的な知識も身に着けていきたいです。
N.M:
現場の開発に詳しく、マネジメントもできるプレイングマネージャーになるのが目標です。開発の知識がおろそかになると、チームとしての開発難度の認識がずれたり、問題発生時の対応時間が長くなってしまうので、自分の知識をチームに還元して、チーム全体を成長させられるようになりたいですね。
K.O:
私はWeb開発の技術を突き詰めて、その分野のスペシャリストを目指したいです。自分自身のスキルを磨くのはもちろんのこと、他のメンバーに知識を共有して、互いに切磋琢磨して高みを目指したいですね。Web関係は常に新たな技術や思想が出てくるので、どん欲に吸収して仕事に活かしていきたいです。
S.I:
今後はメインソフトの開発に携わり、専門性を活かしつつ、システム全体の効率やユーザーを意識した開発ができる人材になりたいと考えています。半導体露光装置は開発規模が大きく、個人の知識量だけでは限界があると感じています。一人よりも二人、三人いた方が知識量は増えるものです。現在プロジェクトリーダーも担当しているので、個の能力を発揮して組織力を高め、より良いシステム開発とユーザーへの貢献ができるチーム作りを目指したいです。